Category Archives: 講演・講話

いのちの教育の考え方と展開

東海大学教授 近藤卓氏による、富山・いのちの教育研究会定例会(平成15年度)における講演です。

講演の概要

1.(講演前に「いのちの認識に関する調査」を実施。
その調査結果は、
日々の「共有体験」が
自他に対する「自尊感情」を培う上で不可欠であること
を実証するための資料の一助にするとのことでした。)

2. 共有体験は小中高大学、社会人それぞれ、
内容は若干、変化するが、
時間の経緯で見れば共通して
特に、10歳から12歳頃までの体験が
最もいのちについて鮮烈に受け止め、
生涯の好ましい自尊感情につながると仮説を立てた。
これは大学での調査研究である。

3. カウンセリングで大切なのは、
場と時間と空間の共有であり、
それだけでクライアントを勇気付けることができる。

4. 10歳頃の年代に、
周囲の人々と共有体験をすることにより、
人間のいのちや死についての危険な好奇心を、
万人の知りえない事実として「棚上げ」できるか否かが問われる。

5 いのちを教えることは答えを教えるのでなく、
教師として共有の「場」を多く設定してやること
が大切な務めである。

講演の詳細

講演の詳細は こちら にあります。(富山・いのちの教育研究会のページ)

「いのち教育」のめざすものと課題

上越教育大学教授 得丸定子氏による、富山・いのちの教育研究会定例会における講演です。

講演の要旨

・いのちの教育の必要性を様々な視点から述べる。

・その必要性を生み出した時代的、思想的な背景の流れについて語る。

・いのちの教育は、その流れの中で世界的、同時多発的に生まれたものである。

・いのちの教育は、それぞれの国、民族、宗教、地域性等に適合したもの
であるべきである。

・わが国の教育行政レベルで、
いのちの教育がどのように取り扱われているかを、
中央教育審会の答申と学習指導要領およびその解説編について説明する。

・具体的な実践のあり方は、関係者の研究に委ねられるとして、
日本におけるカリキュラム試案とそれに基づいて
上越教育大学が開発した教材を紹介する。

・わが国の自殺件数に見られる特徴を挙げ、
自殺の予防と事後措置の対策の遅れを指摘、
この点でのいのちの教育の必要性を説く。

・いのちの教育に携わる者の心構えについて述べる。
いのちの教育においては、自分の考えを押し付けるような安易な態度は危険である。
宇宙における自分のいのちの存在を自覚するなどして、真摯な祈りを込め、
全身全霊を傾けて謙虚な気持ちで子どもに語りかけ、
共に考える姿勢が大切である。

講演の詳細
講演の詳細は こちら にあります。(富山・いのちの教育研究会のページ)

 

いのちを考える

精神科医 草野亮氏による、富山・いのちの教育研究会定例会における講演です。

講演の要旨
私は公的病院に長く勤務してきた精神科医であるが、
定年退職後、その経験を生かしてスクールカウンセラーを務めている。

いのち( 死)は医学に密接につながる分野であるが、
それをどのような形で教育につないで行くのが適切かは容易な問題でない。

「人間は必ず死ぬ存在」という基本的テーマがある。
最近、タナトロジー( 死生学) という学問が脚光を浴びているが、
死をみつめながらより良く生きることを志向する。

総論から各論に入ると、まず私自身の「死の恐怖体験」から述べる。
一人称( 自分) の死を考えることは、二人称や三人称の死とはかなり異なり壮絶である。
極限状態に近い。

第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所から九死に一生を得たフランクルはその体験から
「人生の意味ある生き方」として3 つの提言をした。

死と向き合った身近な例として、臨死体験経験者T 画伯を紹介する。

自己をみつめる「内観法」があるが、その指導者Y 氏の絵から「死と再生」を論じ、
内観療法を受けた患者の絵の変化「再生」に言及する。

最後に、筆者の中学生に対する講演「これからどう生きるか」で結びたい。
戦後、日本国民が死を乗り越えて生きた生き様を
生徒たちがどのように受け取ったか。

講演の詳細

講演の詳細はこちらにあります。(富山・いのちの教育研究会のページ)

これまでの看護師、助産師の体験から

森太貴子氏(本会会員)による、富山・いのちの教育研究会定例会(平成14年度)における講演です。

講演の概要

今月の話題提供は会員の 森 太貴子さんからです。

森さんは、
これまでの看護師、助産師の体験から
専門的な貴重な話題を提供されました。

産科の臨床経験での生命誕生の感動、
ガン患者や家族との関わりにおける心の葛藤、
看護師養成についての腐心などについて語られました。

その中で
臨床心理の問題、
高度医療の影の問題、
少子化の問題、
若い未熟な親の自覚の問題など
今日的な問題を数々提起されました。

また、
日本女子大の中村博志先生から
スクーリングを受けたこともお話されました。
(中村先生には『死を通じて生を学ぶ教育を』の著書があります。)

(講話をめぐって質疑応答があり、
看護という新たな視点から
「いのちと死」の問題を考えました。)

講演の詳細

講演の詳細は こちら にあります。(富山・いのちの教育研究会のページ)